この記事でわかること
- VRRPの基礎
- Aruba-CX OS スイッチでのVRRP設定方法
VRRPとは
VRRPとは、Virtual Router Redundancy Protocolの略で、ルーターやL3スイッチの冗長プロトコルです。
VRRPの特徴は以下です。
- マルチベンダ対応
- RFC3768で標準化されたプロトコルのため、マルチベンダ環境でも実装可能です。
- 仮想ルーター
- 1つの仮想ルーターが設定され、その仮想ルーターにはIPアドレス(Virtual IPアドレス)が割り当てられます。
- 接続するホストやネットワーク機器は、この仮想ルーターのIPアドレスをデフォルトゲートウェイとして設定します。
- マスター/スタンバイ
- 実際のルーター/L3SW(VRRP対応)の中から、1つがマスタールーターとして動作し、残りがバックアップルーターとして待機状態になります。
- それぞれのルーターには優先度(Priority)が設定されており、最も高い優先度を持つルーターがマスタールーターとなります。
- 切り替わり
- マスタールーターに障害が発生した場合、バックアップルーターはそれを検出し、次に高い優先度を持つバックアップルーターがマスターとしての役割を引き継ぎます。
本記事ではAruba-CX OSでのVRRP設定方法を解説します。
Aruba CXでのOSPF設定方法
※以下コマンドはVRRPを構成する全機器で設定
Virtual IPアドレスを設定
(物理インタフェースにIPv4のVIPを設定する場合)
aruba-cx(config)# interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv4 ※vrrp <VRRP ID> address-family ipv4
aruba-cx(config-if-vrrp)# address 192.168.0.1 primary
(物理インタフェースにIPv6のVIPを設定する場合)
aruba-cx(config)# interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv6
aruba-cx(config-if-vrrp)# address fe80::1 primary
(VLANインタフェースにIPv4のVIPを設定する場合)
aruba-cx(config)# interface vlan 10
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv4 ※vrrp <VRRP ID> address-family ipv4
aruba-cx(config-if-vrrp)# address 192.168.0.1 primary
(VLANインタフェースにIPv6のVIPを設定する場合)
aruba-cx(config)# interface vlan 10
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv6
aruba-cx(config-if-vrrp)# address fe80::1 primary
Priority(優先度)設定
(物理インタフェースにIPv4のVIPを設定する場合)
aruba-cx(config)# interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv4
aruba-cx(config-if-vrrp)# priority 110
(物理インタフェースにIPv6のVIPを設定する場合)
aruba-cx(config)# interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv6
aruba-cx(config-if-vrrp)# priority 110
(VLANインタフェースにIPv4のVIPを設定する場合)
aruba-cx(config)# interface vlan 10
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv4
aruba-cx(config-if-vrrp)# priority 110
(VLANインタフェースにIPv6のVIPを設定する場合)
aruba-cx(config)# interface vlan 10
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv6
aruba-cx(config-if-vrrp)# priority 110
プリエンプトを設定
プリエンプトとは常に1番Priorityが大きい機器がマスターとして動作する設定です。
※プリエンプトはデフォルト有効
(プリエンプト有効)
aruba-cx(config)# interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv4
aruba-cx(config-if-vrrp)# preempt
(プリエンプト無効)
aruba-cx(config)# interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv4
aruba-cx(config-if-vrrp)# no preempt
プリエンプトdelayは1-3600secの間で設定可能です。デフォルトは0秒です。
(プリエンプトdelay設定)
aruba-cx(config)# interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv4
aruba-cx(config-if-vrrp)# preempt delay minimum 10
(プリエンプトdelay無効)
aruba-cx(config)# interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)# vrrp 1 address-family ipv4
aruba-cx(config-if-vrrp)# no preempt delay
VRRPを有効化/無効化・VRRP設定削除
(VRRP有効化)
aruba-cx(config)# router vrrp enable
(VRRP無効化)
aruba-cx(config)# no router vrrp enable
(VRRP設定削除)
aruba-cx(config)# no router vrrp
All VRRP configuration will be deleted.
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インタフェーストラッキング設定
(トラックオブジェクトを設定する)
aruba-cx(config)# track 1 ※track <ID> ID:1-128
(VRRPグループにトラックオブジェクトを設定する)
aruba-cx(config)#interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)#vrrp 1 address-family ipv4
aruba-cx(config-if-vrrp)# track 1
(トラックするインタフェースを設定する)
aruba-cx(config)# interface 1/1/1
aruba-cx(config-if)# track by 1