- BIG-IP HAのFailsafeについて
- Failsafeの設定方法
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BIG-IPのHA・Failsafeについて
BIG-IPではHA(High Availability:冗長化構成)を取ることができます。
2台構成では以下の2パターンです。
- Active – Standby
- Active – Active
また、3台以上8代以下の構成も可能で、各BIG-IPをActive、Standbyのどちらかに設定できます。
Activeになった機器は通信を制御し、Standbyは待機状態となります。
また、Active機が故障や障害を起こした場合、Standby機がActive機に昇格する機能のことをFailsafeといいます。
※Standby機がActive機になることをFailoverといいます。
BIG-IPには様々なFailsafe機能が用意されており、以下で各Failsafeを紹介していきます。
Failsafeの種類について
Failsafeには大きく分けて3つの種類があります。
- Serial Failsafe
- Network Failsafe
- System Failsafe
Serial Failsafe
SerialFailsafeとはBIG-IP同士をケーブルで接続し、お互いの死活監視を行う方法です。
SerialFailsafeには2種類の方法があります。
- シリアルフェイルオーバー
- ネットワークフェイルオーバー
シリアルフェイルオーバーはBIG-IP同士を専用線で結びます。(現在は一般的なCat5のLANケーブルを使用)
Standby機がActive機の電圧を監視し、一定の電圧以下になればフェイルオーバーを実施します。
お互いを直結する必要があるため、3台以上のHA構成では使用できません。
ネットワークフェイルオーバーは同様にLANケーブルを使用し、お互いにハートビートを交換します。
ハートビート通信が途絶えると、Standby機はActive機に問題があると認識し、フェイルオーバーを実施します。
シリアルフェイルオーバー、ネットワークフェイルオーバーを両方同時に実装することが可能です。
これにより、BIG-IP間のケーブルの障害でフェイルオーバーが実施され、両方Activeとして動作することを防いでくれます。
※2本とも障害が起きる二重障害の場合は両方Activeになります。
Network Failsafe
Network Failsafeはトラフィック等を監視し、検知できなかった時にフェイルオーバーを起こします。
以下の4種類が用意されています。
- VLAN Failsafe:特定のVLANで一定時間トラフィックを感知できなかった場合にフェイルオーバーを実施
- gateway Failsafe:Gatewayとして設定したPoolがダウンした場合、Poolを切り替える
- HA Group(Pool):特定のPoolのメンバーがDownしたとき、閾値以下になりスコアが逆転した場合切り替える
- HA Group(Trunk):特定のIFがDownしたとき、閾値以下になりスコアが逆転した場合切り替える
System Failsafe
System FailsafeはBIG-IPの管理インタフェースに障害が生じた場合やBIG-IPが正しく起動しない場合に、再起動するなどしてシステムの回復を助ける機能です。
Sysytem Failsafeは不具合を検知するとすぐFailoverを実施する機能ではないので、上記のSerial FailsafeやNetwork Failsafeと動きが違います。
Serial Failsafeの設定方法
BIG-IPの構成は以下の記事の構成とします。
設定方法
本記事はBIG-IP VEを使用しているため、直接ケーブルを接続するシリアルフェイルオーバーを設定することができません。
そのため、ネットワークフェイルオーバーの設定を行います。
まずはFailoverネットワークを設定します。
画面左側の”Device”→”bigip-A.com(自身のデバイス)”を選択します
画面上部の”Failover Network”を選択し、”Failover Unicast Configuration”で対向のVLAN99のIPアドレスを選択してください。
もう1台のBIG-IPでも同様の設定をします。
次にDevice Goup Listを作成します。
画面左側の”Device Group”を選択し、Device Group Listの”Create”をクリックします。
以下のように設定しましょう。
最後に同期を行います。
”Device Management”の”OverView”を選択し、”Sync”をクリックし同期を実行します。
これにより各機器のステータスが、1台はActive、もう1台はStandbyとなりました。
これによりActive機をShutdownすると、Standby機がActive機に降格します。
つまり、ネットワークフェイルオーバーが機能していることになります。
まとめ
BIG-IPは障害に備えた冗長化(HA)構成の機能が備えられており、最大8台まで冗長構成をとることができます。
Failsafeの機能は大きく3種類あります。
- Serial Failsafe
- Network Failsafe
- System Failsafe
必要に応じて設定するようにしましょう。
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